アレルギーとは

アレルギー

私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物が入ってきた時に、これら外敵を攻撃しようとする免疫機能が備わっています。ところが、食べ物や花粉などに対しても過剰に反応し、攻撃してしまうことがあります。このように、免疫によってマイナスの症状を引き起こしてしまうのがアレルギーです。本来なら体を守るはずの免疫反応が、自分自身を傷つけてしまう反応に変わってしまうわけです。

初診に際して

初めてアレルギー科を受診する際には、下記のような「メモ書き」をご用意いただくと、診察がスムーズに進みます。可能な範囲で結構ですので、ご協力ください。

  • 初めて症状が出た時期
  • 症状の具体的な内容
  • 症状が出たきっかけ
  • その後の症状の経過
  • これまでにかかった医療機関
  • これまでに受けた検査の結果
  • これまでに使用してきた薬の名称
  • 家族にアレルギー患者がおられるかどうか
  • ペットの有無
  • 喫煙者の有無

など

当院で施行可能なアレルギー検査

1. 特異的IgE検査

費用:約5,000円(保険診療・3割負担の場合)
一般的なアレルギー性鼻炎の原因物質の同定や食物アレルギーの検査です。通常の採血検査のみで結果を判定できます(結果説明は後日)。なお、さらに詳細な検査をご希望される場合は、保険診療にて半年後に施行可能となります。

2. 遅延型アレルギー検査(自由診療)

初診料3,000円、再診料なし
費用:219項目(フルパネル) 52,000円(税込)
   120項目(セミパネル) 35,000円(税込)
IgE依存性の食物アレルギーとことなり、数時間~数日かかって生じるアレルギー(IgG依存性)の有無を明らかにできる検査です。通常の採血検査のみで結果を判定できます(結果説明は後日)。

3. パッチテストパネル

費用:約6000円(保険診療・3割負担)
22種類の接触アレルゲンに対する接触アレルギー(IV型アレルギー)の検査を行うことができます。採血検査では明らかにできない金属やゴムなどに対する接触アレルギー(かぶれ)のチェックに最適です。先方のパッチを背中に貼り、48時間後に判定となります。

代表的な疾患とその特徴的な治療法

気管支喘息

気管支喘息は、空気の通り道である気道に炎症が起きる疾患で、「ゼーゼー」、「ヒューヒュー」という特徴的な症状が出現します。患者さまの多くは、気道が過敏になっており、ダニやハウスダスト、ウイルス、タバコ、冷たい空気などによる刺激が加わると、気道は狭くなります。これに伴って咳が出たり、息苦しくなったりするのです。治療としては、抗原回避を徹底し、喘息治療薬を適切に用います。使用するお薬には、発作を予防するために定期的に使う長期管理薬と、発作が起きた時に、その症状を鎮めるために頓服的に用いる発作治療薬の2種類があり、患者さまの症状によって使い分けます。また、さらに重篤な発作が生じている場合には、症状の緩和を目的とした点滴療法や、小康状態の維持を目的とした定期的な注射療法なども施行可能です。

食物アレルギー

食べ物が原因となって引き起こされるアレルギーのことを食物アレルギーと言います。食物アレルギーの症状は、じんましんなどの皮膚症状、喘鳴などの呼吸器症状をはじめ、目や鼻、消化管などにおける症状も見られます。原因となる食べ物には、卵、落花生、小麦、乳製品、カニ、エビ、そば、魚、大豆などが知られています。これらの原因物質を様々な検査で見つけ出します。原因食材が見つかったら、抗原回避をしたり、医師の指示に基づいて原因となる食べ物を少しずつ食べていったりします。薬物療法としては、抗アレルギー薬をしばらく用いたりします。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、痒みのある湿疹を特徴とするアレルギー疾患で、良くなったり悪くなったりを繰り返します。遺伝的な体質に環境要因が影響して発症すると考えられています。多くの患者さまが、皮膚が乾燥しやすい素因とアトピー素因を併せもっています。治療の中心は、薬物療法です。外用薬としては、ステロイドや免疫抑制薬の塗り薬があります。ステロイドの塗り薬には、炎症を強く抑える作用があり、免疫抑制薬の塗り薬は過剰な免疫反応を抑制します。ほかに痒みを抑えるために、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を補助的に用いたり、重症の成人患者さまでは、ステロイド薬や免疫抑制薬の飲み薬を服用したりすることがあります。どの薬をどのように組み合わせて、どのくらいの量を使うかは、医師が患者さま個々人の皮膚の状態などをよく診て判断します。

アレルギー性鼻炎

アレルギー症状を引き起こす原因物質を吸入することにより、抗原と抗体が鼻の粘膜で反応し、鼻症状を起こす病気です。風邪症候群とは異なり、通常は喉の痛みや発熱を伴いません。通年性のアレルギー性鼻炎の場合、主な原因は家の埃やダニの糞・死骸などです。ペットの毛やフケ、カビも原因となります。スギ花粉やヒノキ花粉などが原因となる花粉症もアレルギー性鼻炎の一種です。一般的には症状が出現する早期から内服薬を処方して予防し、適宜外用薬を追加して対処いたしますが、季節性の症状(花粉症)などの場合は、月に1回注射を行うことによってかなりの症状緩和が期待できることがあります。

舌下免疫療法

舌下免疫療法は、アレルギーの原因となっている物質を少しずつ体内に投与することにより、徐々にアレルゲンに慣れていき、アレルギー症状の改善を目指す治療法の1つです。従来はアレルゲンを含む治療薬を皮下に注射する皮下免疫療法が一般的でしたが、最近は少量の治療薬を舌の下に投与する舌下免疫療法が登場し、より簡便に行うことが出来るようになりました。保険診療の適用範囲も拡大し、スギ花粉が原因の季節性アレルギー性鼻炎のみならず、ダニが原因の通年性アレルギー性鼻炎も保険で受けられます。

なお、スギ花粉症の場合、スギ花粉が飛散している時期はアレルゲンに対する身体の反応が過敏になっていますので、新たな治療を開始することは出来ません。他方、ダニアレルギーの場合は、いつでも時期に関わらず治療を始められます。